28/04/2026
森の図書委員今日のおすすめ本〉
『月の立つ林で』青山美智子
少しだけ今日1日で関わった人の事を考えてみてください。
例えば、宅配便を届けてくれた人、レジにいた店員さん、仕事で連絡がきた人。
そんなありふれた関わりから些細な気持ちの変化に繋がることがあります。
「朝見た占いで1位で気分が良かったから、電車で席が空いた時に隣にいたサラリーマンに譲った」
「仕事を辞めようか迷っていた。憂鬱な満員電車で、席が空くと、隣にいた学生が笑顔で譲ってくれた」
人の数だけ物語があり、行動一つ一つは、これまでの出来事の蓄積によって左右されるかもしれません。それはたった数時間前の出来事だったり、過去のトラウマだったり。
とすると、私たちの思ってる以上に目に見えるものはほんの上澄みでより深くで、より複雑に交わっているのです。
あなたの知る世界はほんの一部で、全てを知ることができないのは、あなたがあなたとして生きているから。だからこそ、奇跡や運命と信じたくなるのでしょう。
たとえ奇跡とまでいかなくても、あなたが気づいていない巡り合わせは案外近くにあるのかもしれませんね。
staff ひなた
#青山美智子 #月の立つ林で #森の図書室
24/04/2026
〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『95』早見和真
1995年の渋谷。
センター街にはいつも人があふれていて、
街全体がどこかざわついていた時代。
今の渋谷よりも、だいぶ混沌としていた雰囲気が、すごく伝わってくる描写が多く、とても引き込まれました。
高校生だった主人公たちは、
まだ何者でもないのに、
自分たちはどこにでも行ける気がしていた。
この仲間たちとなら何だって出来ると思って疑わなかった。
仲間とつるみ、バカなことをして、
ときどき本気でぶつかる。
そんな毎日が、ずっと続くように思っていた。
けれどあの頃の、がむしゃらに毎日を謳歌していた時間は思っていたよりずっと短くて、
一瞬のように過ぎていく。
この物語は、
ただの青春の思い出では終わらない。
あの時代の空気。
若さの勢い。
どうしようもない衝動。
全部を抱えながら、
彼らは自分たちなりに世界と向き合おうとしていた。
読みながら、
あの頃の渋谷の景色と、
むき出しの青春が重なって見えてくる。
まっすぐで、少し…いやだいぶ危うくて、
でも確かにあの時代にしかなかった熱がある。
読み終えたあと胸に残るのは、
あの頃にしか出せなかった、むき出しの熱量でした。
どうしようもなくて、
でも確かに輝いていた青春の物語。
「Qちゃん!GOだ!!」
staff 未来
#早見和真 #95
21/04/2026
森の図書委員今日のおすすめ本〉
『透明な夜の香り』千早茜
「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶されるから」
「執着と愛着の違い。あんた、わかった?」
なんて美しい小説だろう、というのが読み終わって最初に出てきた感想でした。
香りってもう一度その香りに出会うまでは忘れていて、再度出会った瞬間に否応なしに記憶の蓋が開くものの、数秒でまた記憶の奥底に眠ってしまう。その残酷さと切なさとはがゆさを初めて認識しました。
そして、自分の想いが執着なのか、愛着なのか、わからなくなったときにもこの本を読み返したいとおもいました。
staff 美羽
#透明な夜の香り #千早茜
20/04/2026
〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『君が夏を走らせる』瀬尾まいこ
ひとつの夏が、誰かの人生を優しく変えてしまう瞬間を描いた物語。
高校を中退し、どこか行き場を失ったまま時間を持て余している青年・大田。
彼が預かることになったのは、生まれて間もない小さな命。
慣れない抱っこ、ぎこちないミルク、泣き止まない夜。
そのひとつひとつの出来事の中で、止まっていたはずの彼の時間が、少しずつ動き出していく...
この物語には、派手な奇跡はありません。
けれど、赤ちゃんのぬくもりや、夏の空気、汗ばむような日常の中に、確かに人が変わっていく気配があります。
瀬尾まいこさんの物語は、いつも「優しさ」を声高に叫ばず、ただ、そっと差し出してくれているなと...
彼が赤ちゃんと過ごす日々は、舞台でもある季節、まさに夏の夕暮れのように感じました。
眩しくて、少し不安で、それでもどこか温かい、あのちょっと切ない感じ。
読み終えたとき、胸の奥に残るのは大きな感動というより、
「人は、誰かに必要とされることで前へ進めるのかもしれない」という事。
ひと夏の出来事なのに、まるで人生の節目を見守ったような読後感が残りました。
それはきっと、
まだ大人になりきれない誰かが、大人になっていく瞬間を見届けたから。
staff 未来
#瀬尾まいこ #森の図書室
15/04/2026
【読書会へのご参加ありがとうございました☆】
2026年1回目の読書会は「本屋大賞」をテーマにしてみました。
年末に続き、たくさんのご参加ありがとうございました😊
キックオフする前から脅威の盛り上がりを魅せていただけて、大変光栄です...。お互いが安心して話ができるよう心遣いをしながらも、遠慮なく話を広げてくださる様子に感動しました!2度の席替えを挟みながらも、どの卓でも個性的にテーマが動いていきましたね。
本から派生して自由な情報交換の場にもしていただけて幸いです。
店長やスタッフも混ざってお話しできたことも本当に嬉しかったです!
次のテーマもそろそろ決めたいと思っている所存です。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
またの開催、ぜひ心待ちにしていただければと思います。
staff 岬来
11/04/2026
いよいよ明日!
2026.4.12(日) 19:00-22:00@森の図書室
本屋大賞をテーマにした読書会を開催します!
数々の話題作、衝撃作が彩ってきた、本好きなら見過ごせない「本屋大賞」。
歴代の本屋大賞受賞・ノミネート作品をメインテーマに語り合う読書会になります。
たとえば、
・「今年のノミネート作品について語り合いたい!」
・「本屋大賞ってどんな賞?みんなはどんな風に読んでるの?」
・「この年がヤバかった!実はこれがおすすめ!」
などはもちろん、本屋大賞作品を読んだことがない人でも大丈夫!
新たな本との出会い、そのきっかけづくりにもぜひご利用ください!
ご応募は以下のリンク、もしくはストーリーハイライトより!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf_HYp6USgCe7AsShUsHivj40wngbUUFU7WgarjvkiY5eCL7Q/viewform
【日時】2026年4月12日(日)
【場所】渋谷 森の図書室
【料金、プラン】お食事&フリードリンク(アルコール含まず)
お一人様¥4,400 ※現金のみとなります。
(アルコールプランご希望の方は+1100円)
【概要】『本屋大賞受賞・ノミネート作』をテーマにした読書会
P.S.
「森の図書室店長でございます。私も未熟ながら本屋大賞フリークでございまして、今年もノミネート読破間近でございます。お客様たちの本屋大賞トークを耳にしては、それに混じりたい悶々とした日々を送っています。
是非この機会に、皆さんとお話ができることを楽しみにしております!」
#本屋大賞 #読書
10/04/2026
の図書委員今日のおすすめ本〉
『ライオンのおやつ』小川糸
もしも自分が末期ガンと宣告されたら最期の人生どう過ごすだろう?
余命を宣告された若い女性、雫の物語。
瀬戸内海の小さな島にあるホスピス「ライオンの家」で最期の時間を過ごすことを決める。
そこでは、毎週日曜日に“おやつの時間”があり、入居者が「人生で一番思い出深いおやつ」をリクエストできます。
誰かの懐かしい味、子どもの頃の記憶、大切な人との時間...
雫は他の入居者や温かなスタッフに囲まれながら、少しずつ「死」と向き合い、「生きること」の意味を見つめ直していきます。
さすが小川糸さん。
死をテーマしているのに、重く暗い印象はなく、やわらかく温かい。
読後、涙は出るけれど不思議と心が軽く前向きになれます。
「思い出」や「愛された記憶」をおやつで象徴しているのが素敵です。
小川糸さんの静かで一文一文が染みる文章を皆さんも是非ご堪能ください。
staff 未来
#小川糸
08/04/2026
〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『暁星』湊かなえ
いよいよ本屋大賞発表間近、ノミネート作品から最後に手に取ったのがこの「暁星」。
二度読み、間違いなし。湊かなえの新たな代表作です。
話は、文部科学大臣殺害事件を起こした犯人が獄中から綴る手記〈ノンフィクション〉から始まり、後半は一転して、その現場に居合わせた作家による小説〈フィクション〉が続く。
一体これはどういう話なのか。何が真実で何が嘘なのか。
2人の文章の辻褄が合わさるとき、1つのメロドラマが、防ぎようのない呪いが、運命の如き深愛が見えてきます。
湊かなえは、本当は人の不幸よりも幸せを描くのが上手い作家なのではないかと思いました。それ故、反転した不幸の形にも人一倍敏感であり、行き詰まった救いの無さにも豊かな想像が広がっているのかも、と。
「幸せの半分こは相手に多い方を、不幸の半分こは相手に少ない方を。」
緻密な構造の奥から次第に押し寄せる、途轍もない感情のエネルギー。
彼らの心で、言葉で。
それが最も美しい形で発露した先にある余韻は、これからずっと自分の中を漂うのかもしれないと思いました。
staff 岬来(みさき)
#本屋大賞 #暁星
07/04/2026
〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『ありか』瀬尾まいこ
今週末12日(日曜)は、森の図書室定例の夜の読書会。今回のテーマは『どう読む?本屋大賞を楽しもう』になります。気になっている方は是非ご参加ください。初めての方も大歓迎です。
今回紹介するこちらの本も、2026年本屋大賞ノミネート作品です。
「よそはよそ、うちはうち。」という言葉がありますね。それは良くも悪くもだとは思いますが、瀬尾まい子さんの作品はそんな閉じたかぞくのあり方を、コンコンと叩いて、軽やかに開いてくれるような気がします。
この「ありか」も、日常から少しズレてしまった場所から始まる、だけど普通な物語です。
美空は、子育てを通じて自身が子どもだった頃から信じていた家族の関係に、疑問を持つようになります。
『子育てというのは、自分が受けてきたことをするのではなく、ただ目の前の子どもにしたいことをするものかもしれない。』
娘・ひかりとの生活の中で変化していく美空。
ひかりとの時間の中で
彼女はまた新しく自分の心を育てていきます。
人は、自分の場所を常に選べるわけではない。
それならそれで、いまある目の前をよく見つめてみる。普通かどうかでなく、それを日常だと信じて、日々を費やしていくこと。そうやって私たちは、お互いの在処を作っていくのかもしれません。そんな温かい作品でした。
staff 岬来(みさき)
#本屋大賞 #瀬尾まいこ
05/04/2026
〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『ツバキ文具店』小川糸
代書屋さんって皆さんご存知ですか?
わたしは文芸書以外にもライトノベルもたまに読むのですが、
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
と言う作品が本当に大好きなんです。
この物語も【代筆屋】という仕事のお話で、
そこから今回の作品「ツバキ文具店」に興味を持ちました。
【代書屋】と【代筆屋】
物語上、代筆屋はタイプライター。代書屋は手書き。という点以外は、
依頼者の想いを汲み取り、いかに受取人の心へ届けられるか。の根本は同じ
今回ご紹介するツバキ文具店は、
主人公の鳩子は数年の海外生活を経て、故郷・鎌倉に戻り、亡くなった祖母から店と 【代書屋】の仕事を受け継ぎます。
お客さんそれぞれの事情や心のつっかえを知り、時には自分の祖母への思いと向き合いながら、人と人をつなぐ“言葉”の大切さを学んでいく物語です。
依頼内容はさまざまで
お祝い、別れの手紙、恋文、謝罪、感謝など…
代書を通して見える人々の人生や感情が心にとても響きました。
すごい!と思ったのが、
便箋•封筒、筆記具、筆跡や文体、更には切手まで代書の内容によって変えるんです。
ここまで拘るのか!これがプロの仕事ってやつだな。かっこいい…その向き合う姿勢、見習おうと学びました。
そして、現代はメールやSNSが主流。
ですがやっぱり手書きの手紙はとても素敵だ!と、改めて痛感…
ツバキ文具店は実際にはありませんが、
舞台である鎌倉で、鳩子が訪れるお店達は実在します。
「ツバキ文具店の鎌倉案内」を片手に是非、聖地巡礼してみてください。
その後、続編2作品
「キラキラ共和国」と「椿ノ恋文」を読んで、どっぷり読書沼にハマっちゃいましょう。
staff 未来
#ツバキ文具店 #小川糸 #鎌倉
03/04/2026
〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『殺し屋の営業術』野宮有
プロ、なんて生易しいものじゃない。
営業を愛し、営業の神に愛された男・鳥井。
凄腕営業マンとして各社を転々としながらも文字通り桁違いなノルマを1人で達成してしまう。尊敬を集めるのは最初だけ、次第に彼はどこでも異常者のような目で見られる。
そう、彼は孤独なのである。
この小説は、才能ゆえに孤独に生きることしか知らない悲しい男が、殺し屋の世界に足を踏み入れて、闘志を燃やしながら覚醒を遂げてゆくアチいアチい物語です。
「2週間で2億。稼げなきゃ全員地獄行きだ」
命を天秤にあり得ないノルマを課される鳥井。
なんだか頼りない殺し屋チーム。さらには厳しい世界の同業者たちからも牙を向けられるのであった...。
この小説をミステリとするなら、その謎はただ1つ。
“どうやって稼ぐか(How earned it?)”
ハードボイルドと呼ぶには、紙一重で馬鹿げている。
乱歩賞だけでなく本屋大賞にもノミネートされた、
ドライブ感高め、一気読み必死な熱血ノワール小説です。
staff 岬来(みさき)
4月12日には、森の図書室にて読書会!
テーマは「どう読む?本屋大賞」です!是非お越しください💫
#本屋大賞 #殺し屋の営業術